さて,図らずも月1となっております和訳コーナーです
昨日のOut & Loudフェスでは,Powerwolfの10周年を記念するライブが行われましたので,当ブログではデビューアルバムのリリース後間もない,2005年のインタビューを紹介します!
以前こちらの記事で,バンドの結成には物語がある,しかも面白いということを書きましたが,5か月を経てようやく紹介できそうです(;´∀`)
Return in Bloodredのリリースは2005年4月4日,当時の彼らは何を思っていたのでしょうか。
それではマシューによる語りをお楽しみください(´▽`)
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掲載サイト:Get Ready to Rock!
掲載日:2006年9月3日(?)
掲載元:Interview: Matthew Greywolf (Powerwolf)
取材日:2005年
インタビュアー:John Stefanis
インタビュイー:Matthew Greywolf
あなたがこれから先,ギタリストでありドイツのへヴィー・メタルバンドの結成メンバーでもあるグレイウルフ兄弟の一人,マシュー・グレイウルフと対談することがあるならば,メタルブレイドのスカウトがバンドに何を見出して契約を申し入れたのか,必ずや合点がいくことだろう。Powerwolfはデビューアルバム“Return in Bloodred”をリリースしたばかりだ。私はギタリストと有意義な30分を過ごすことができた。
こんにちはマット。このインタビューを,記事の読者にバンドを紹介することから始めませんか?Powerwolfの5名が初めて集まったのはいつ?
マシュー:うーん,実は俺たちがPowerwolfを結成した明確な瞬間ってものは無くてさ。兄弟のチャールズ(ベースのグレイウルフ)とは一緒に演奏して大体10年になるんだけど,その間,本気で音楽を作り始めることに加えて,アルバムをリリースするのを手伝ってくれるようなメンバーがいなかったんだ。
バンドメンバーのうち,ドラマー(シュテファン・フネーブル)とオルガン奏者(ファルク・マリア・シュレーゲル)の2人とは,だいたい2年くらい一緒に活動してる。俺たちの音楽にふさわしい歌手を探すのは,本当に骨が折れるような作業だったよ。俺たちが必要としていたのは,「いかにもジャーマン・メタル」ってシンガーじゃなかったから。
ジャーマン・メタルに同じような歌手が何百人といるのは,不変的なものが求められているからなんだろうね(笑)全ては俺たちが特別な人材を探し求めていたことにある。だけど,素晴らしい人が現れてくれる,出会えるはずだ,なんて期待はしちゃいけない。色んな歌手と演奏したけれど,納得いくことはなかった。
俺とチャールズは休暇をルーマニアで過ごしたことがあってね。アッティラと出会ったのはその時だったんだ。バンドの歌手になる相手との出会いがルーマニアにあるだなんて考えたこともなかったからね,驚きだよ。本当に不思議な話なんだけど,あれは偶然に起こった出来事だった。2人でバーにいると,見知らぬ男が話しかけてきた。後に彼は,俺たちがミュージシャンだと思ったから声を掛けたって打ち明けてくれたよ。3人で主に音楽について色々と喋っていたんだけど,彼は俺たちがやってるバンドの話にとても興味があるようだった。ひとしきり語り合った後,彼は電話番号を訪ねてきたんだ。ドイツで俺たちとセッションする時があるかもしれないからって。
これには俺もチャールズも笑ったよ。彼が本気だなんて,これっぽっちも思っていなかったからね。そうして彼に番号を教えたものの,しばらく経つとそのことは俺たちの頭からすっかり抜け落ちてた。ドイツに戻って何週間か過ぎた頃,留守番電話にメッセージが入っていたんだ。近々親類の元に用事があってドイツを訪れるので,セッションしに俺たちのところに寄りたい,というアッティラからの知らせがね。とは言うものの,どうせ彼は来ないだろうと高を括っていたよ。だけど,アッティラはやって来た。
来てくれた彼のために,俺たちは何曲か演奏した。アッティラが歌を音楽に乗せたとき,奇跡が起こった。言葉なんかいらなかった。そう,彼こそがまさに俺たちが探し求めていた存在だったんだ。俺たちは彼と一緒に活動していこうと決めたよ。そしてバンドが歩み始めたんだ。
Photo by Powerwolf |
マシュー:そう思った?それは面白いな,初めて言われたよ!
本当に?あなた方のことを,典型的なジャーマン・メタルバンドだと言う人が?
マシュー:いいや。さっきも言ったけど,俺たちは,ドイツにありがちな型にハマったバンドにはなりたくないからね。
まさにそこなんですよ。あなた方の持つ「影響力」について話をさせてください。とにかく,これだけは言わせて欲しいのですが,バンドのフロントマンにアッティラを起用したのは最高の選択だった思うんです。
マシュー:彼はバンドに多くをもたらしてくれた。歌詞とバンドのコンセプトに関する全てのアイディアが彼にはあって,バンドの名前も何もかも,本当に全てがアッティラのおかげなんだ。彼が加入する前の俺たちは・・・何て言うか・・・ちょっと闇雲なところがあったと思う。メタルを演奏して,独自のリフも持ってて,だけどバンドをどんな方向に持っていくかというビジョンまでは持っていなかった。それを解決してくれたのがアッティラなんだ。これが彼の加入に至るまでの話。アッティラは本当に変わった人だよ。彼が持っている特別な雰囲気と人目を惹きつける力が音楽にも表れているんだ。
マット,さっきあなたはチャールズと一緒に10年近く演奏しているって教えてくれたけれど,“Return in Bloodred”のアイディアは全てあなた方が以前より練っていたもの?それとも,アッティラがバンドに来てから生み出されたもの?
マシュー:曲の基本となったいくつかのアイディアは,数年前に俺たちが演奏していたものから来ていると思う。アッティラがバンドに来る前は,ちょっと曲作りからは遠ざかっていたから。最初に彼とセッションした時に,以前の曲を演奏してみたのが俺たちの音楽作りの始まり。けど,音楽が一つの作品として輝きだしたのは,俺たちがPowerwolfを結成してからだね。
なるほど,アッティラがドイツにやって来て,バンドメンバーと一緒に演奏し,そして彼を歌手として迎え入れたと。その後について聞くけれど,どのようにしてドイツ・ルーマニア間の長距離移動に都合をつけたのですか?彼はバンドと共に,これからドイツで暮らしていくの?
マシュー:いや,でも心配はいらないよ。彼にはドイツに住んでいる家族がいるし,幼少期の数年をドイツで過ごしていたこともあるから。アッティラがドイツ語を話せるのはそういうわけ。彼は旅には慣れているし,多分今はまたルーマニアに戻っているんじゃないかな。俺は把握していないけれどね。バンドの練習は彼がドイツにやって来た時にするんだ。俺たちは他のバンドみたいに,週に2回や3回と定期的な合わせをしているわけじゃない。俺たちが集まるのは本当に素晴らしいことが起こっている時で,そして集まったら本気で練習するんだ。だって重要なことが起こっていないのなら,俺たちはそう頻繁に顔を合わせる必要はないからね。練習はとてもうまくいくよ。彼は本当に旅が好きで,すぐ旅行にでかけちゃうから・・・
あなたと兄弟のチャールズがバンドの曲作りの中心となっているの?
マシュー:そうだね・・・音楽的な面ではYESだ。歌の旋律と歌詞は全てアッティラが持ってくる。彼はとても才能のある作詞家だけど,音楽に関するメインのアイディアは俺とチャールズが中心になっているよ。
このインタビューはメタル・ブレイドのデイヴィッドと一緒に手配したんだ。実のところ,当初はアッティラと話をしようと思っていたんだけど,彼は全く英語が話せないと知らされた。今,アルバムの歌詞について触れたけれど,彼がドイツ語で書いたアイディアをあなた達が英語に翻訳している,ということ?
マシュー:そうなんだ。これがまた本当に大変で。でもアッティラは言葉選びが上手だから,うまく訳せているよ。彼は英語が得意ではないけれど,言葉を上手に真似して喋ることができる。この歌詞の中には,おそらく何て歌っているのか分かってないものもあるだろうな(笑)もうひとつ,アルバムの歌詞について言っておきたいのは,俺たちは歌のコーラスをできるだけシンプルにしておきたかった,ってこと。そうすればすぐに一緒に歌えるだろ?歌詞は複雑な言葉にならないようにしたんだ。
私がこのアルバムをすばらしく思った大きな理由の一つに,あっという間にこの世界の虜になってしまったことを挙げさせてください。ほんの2・3回聴いただけで,このアルバムに夢中になってしまったんです。初期のSavatageとDeath SSを合わせたようなサウンドだと思うのだけど,どうでしょう?
マシュー:なるほど,確かにそうだ(笑)誰かに質問された時のために覚えておくよ(笑)
そして,アルバムの全てが中身の詰まった曲であるにも関わらず,ギターリフはSavatageのように非常にキャッチーで,かつ効果的に用いられています。それに,Death SSのような劇的な雰囲気も持ち合わせていますよね。
マシュー:うん,言いたいことは分かる。俺もチャールズも,それこそSavatageみたいな80年代のメタルが大好きなんだ。だけどPowerwolfは,よりダークなへヴィー・メタルバンドなんだよ。俺に言わせれば,Halloweenなんかはヘヴィー・メタルではないな。あれは「ハッピー・メタル」とでも言ったほうがいい。
あなたの口からその言葉が聞けて嬉しいよ。ついでに言うと,私は80年代のアメリカのメタルバンドのほうが好きなんだ。
マシュー:俺の音楽が最も影響を受けているバンドは何かと言うと,Black SabbathとMercyful Fateの2つなんだ。このバンドは俺にとって,悪魔を盛り込んだヘヴィー・メタルの真髄でもあるし,ここから着想を得たことだって多い。俺たちに「80年代のテイストを目指しているのか」と聞いてくる人もいるけど,それは違う。確かに俺たちのルーツはそこにある。けれども,俺たちのサウンドはより現代的なはずだ。
Photo by Powerwolf |
マシュー:おそらく去年(2004年)の春。多くのアイディアが手元に揃っていたから,作曲自体にはそんなに時間がかからなかったな。アッティラが来てからはまるでバンドが魔法にかかったかのようで,“We Came to Take Your Souls”みたいな曲が15分かそこらでたくさん生まれたんだ。俺たちの音楽作りはちょっと変わってて,どういうことかというと,曲が自然に生まれて出来上がっていくんだ。机に向かって座ったまま,なおかつ明確な計画の下でアイディアを生み出していく,なんてやり方は俺たちには合ってない。俺たちの作業の進め方はこうだ。例えば,ありがちなリフしかもっていないような曲があって,それを聴いたアッティラが新しいアイディアを生み出す。そして,15分が経つ頃には曲が出来上がっている,って具合に。一番時間がかかった曲は“Son of the Morning Star”かな。オーケストレーションとか,その他色々とあったからね。残りの曲はひとりでに出来上がっていったよ。
なるほど。あなたがスタジオ入りした時,既にメタル・ブレイドと契約はしていたの?
マシュー:ああ。
契約を交わした時のことで,記憶に残っている出来事はありますか?
マシュー:実際はどうなのか分からないんだけど,メタル・ブレイドは“Powerwolf”っていう俺たちのプロジェクトを耳にして,これは何かが起こる,って確信したんじゃないかな。だから連絡を取って来て,俺たちについて多くを尋ねてきたんだろう。俺たちは実際に顔を合わせて,音楽やその他のことについて何時間も話をしたよ。その後彼らは言ったんだ「君らが素晴らしいものを持っていると信じている。さあスタジオに入って作業をしてくれ」ってね。俺たちはこういうことを経てきた。彼らが俺たちの音楽を信じてくれて本当に幸せだよ。
実際にフレドリック・ノルドストロームをプロデューサーとし,スタジオ・フレッドマンでデビューアルバムのレコーディングを行ったのは,バンドにとって本当に重要なことだったのではないでしょうか。あなたも彼の下でのレコーディングを提案しましたか?
マシュー:これは全員で決めたことなんだ。俺たちは,アルバムをレコーディングするのに理想的な人物は誰かを話し合った。フレドリックが手掛けたアルバムを何枚か聴いたことがあったから,彼がヘヴィー・メタルに理解があることも,Dream Evilのメンバーであることも,色々と知っていた。第一,やりたいことをいちいち説明しないといけないようなプロデューサーと一緒に作業するのは嫌だったし。それで俺たちはフレドリックの前で演奏したんだ。そうしたら彼は「OK,俺から聞きたいことは無い。君たちがやりたいことは分かった」って。もう完璧だったよ!
彼の助けが得られたのには本当に驚きです。Dream Evilのツアーを行っていないなら,おそらく5つか6つのアルバムを同時に手掛けていたでしょうから。
マシュー:これは想像だけど,彼はバンド名に心を動かされたんじゃないかって思うんだ(笑)俺は彼に「バンド名はPowerwolf,へヴィー・メタルを演奏してる。あなたの下で作業がしたい」って伝えた。全ては非常に単純だったんだ。俺が彼に電話をして,しばし音楽についてと,俺たちのアルバムのアイディアで彼が好きそうなものを話した。それでうまく事が運んだってわけ。
スタジオで過ごした期間はどれくらいでした?それと,アルバムレコーディングでの一番の思い出を教えてください。
マシュー:実に素晴らしい時間だったよ(笑)アルバムのレコーディング日程は8日間,それも一日あたり20時間は作業して!フレドリックがスタジオにいたのは日中だったから,俺たちは鍵を借りて夜通し作業していたよ・・・うん,完徹もした。初日に彼から俺たちがすべき事の説明を受けて,それからはレコーディングの繰り返し。凄くいい経験になったし,かなり強烈な日々だった。8日間スタジオに籠りっきりだったからな!
ああ!それで裏のプロモ写真のみんなはこんなに青白い顔色なんだね!
マシュー:そうそう,プロモ写真はノーメイクなんだ。しかも撮影はスタジオを出てすぐ(笑)8日間のレコーディングの後,俺たちはヴォーカルを録音するためにドイツへと飛んだ。それからコーラスとオーケストラを録音して,ミキシングのためにスウェーデンへと向かった。このほうが作業の効率が良かったんだ。
アルバムの出来は素晴らしいものである,というわけですね。とはいえ,この話を聞いたことで非常に短期間のうちにレコーディングされたアルバムであることを知ってしまいましたが。
マシュー:うん,もうやりたくないよ。本当のことを言うと,作業の8日目に,もう何をしたらいいか分からなくなってさ。そうフレドリックに伝えて,俺たちはプレイステーションでゲームしてたんだ(笑)スタジオに向かう前は,8日という期間はきっと過密スケジュールになるだろうって予想してたから,全てをいい方向に持っていかないと,って考えていたよ。俺たちは段取りを組んで,十分にリラックスして臨んだ。けれど,うまくいったのは最初の1,2曲の作業だけ。
“Return in Bloodred”はコンセプトアルバムですか?
マシュー:ああ,俺はそう思ってる。俺はこのアルバムを一つの物語として描いた。叙情的な面だけではなく,音楽的な面でもね。
なるほど。では,描いていた最初のヴィジョンは,最終日にどれほど達成できていましたか?
マシュー:俺は歌詞の本意を完璧には説明できないんだ,何故ならアッティラの奇抜な頭の中には入っていけないからね,チャレンジはできるけど(笑)彼はルーマニアの神話に非常に影響を受けていて,かなり熱心に語るんだ。俺たちと対面したときに,自分がしてきたことを教えてくれたんだけど,ルーマニアの歴史や文化について書かれた本を何百冊も読んだって言うんだ!俺は時々,奴は少し頭がおかしいんじゃないかって思うことがある(笑)歌詞にあるようなテーマを歌うことは,彼にとって何でもないことなんだ。だけど俺には歌詞の多くが理解できない,というのが正直なところ。アッティラ自身は,歌で訴えたいことが始めから明確であるんだけどね。(ルーマニアの伝説などは)彼の人生において多くを占めているものなんだ。吸血鬼の映画とか,そういう類のものを沢山見たのかって俺たちに聞いてくる人もいるけど,アッティラはそう言われると本当に腹を立てる。彼は吸血鬼の映画を嫌っていて,「こういう映画は真実を語っていない,嘘ばっかりでひどいものだ」って主張しているんだ。
私はまだPowerwolfのライブを見たことがありませんが,一般的なへヴィーメタルのショーよりも,もっと特別な,Powerwolf風に言えば,より神秘的で劇的なパフォーマンスがあるだろうと期待しています。
マシュー:その通りだよ。ありきたりなステージとは違う,多くの視覚的な効果があると思っていて欲しい。それも火花とか火柱には頼らずにね。重要なのはアッティラという存在なんだ。このバンドの歌手になる前,彼はオペラをやっていたんだ。声楽をやっていたし演技もしていたから,舞台的なことに精通している。どうだろう,俺たちに期待できることが少しずつ見えてきたんじゃないかな。構想の全てが整っている訳ではないけれど,いくつかは実現するはず。Powerwolfは単にステージ上で曲を演奏するだけのバンドとは違うんだ。
Photo by Powerwolf |
マシュー:これからだね。俺たちはドイツで開催されるSummer Breeze festivalへの出演を控えてる。 ツアーを行うなら自分たちの音楽に確信を持てるような,そんな素晴らしいものにしたい。だから今はまだ何も考えていないんだ。20分かそこらで自分たちのステージを終えなくちゃいけないような前座バンドの一団にからは,すぐに抜け出してみせる。“Return in Bloodred”を聴いた多くの人は,素晴らしい演出があると期待してくれているし,俺たちもそれを提供したい。現実のものとするためにも,俺たちは最高の機会が来るのを待っているんだ。
アルバムがメタル市場にリリースされたのはついこの間ですけれど,これまでにどのような反応がありましたか?
マシュー:まだ分からない。メディアの反応について言うと,ドイツではかなりいい手応えを得ている。けど,それ以上のことは分からないんだ。このアルバムは全てのヘヴィー・メタルファンに向けた1枚になっていると確信しているけど・・・いずれ分かるだろうな。
誤解をしないでほしいんだけど,アルバムには9曲しか収録されていなくて,ちょっとがっかりしたんです。全体で40分ですから,少なくとももう2曲はあったのではないかと予想しています。やはり,今回収録されなかった曲があったのでしょうか?それとも短いのには他に理由が?
マシュー:アルバムに収録した9曲が全てだよ。俺たちの音楽をもっと聞きたいと言ってくれて,とても嬉しいよ。15曲録音していて,アルバムを聴いているうちに退屈になってくる,なんて事にならなくてよかった。個人的にだけど,俺は短いアルバムが好きだし,この9曲をひとつにまとめたのは正解だったと感じているよ。「たった40分しかないなんて,もう一度頭から聴こう」って話も耳にしたし,本当に喜びでいっぱいさ。もう1曲2曲を追加していたら,全てが崩れていたと思う。それと,当時の俺たちは,たぶんもう面倒くさくなってたんだ(笑)8日でアルバムをレコーディングしろってなったら,その期間で15曲分も作業をこなすのは,いい考えとは言えない。だったら短いアルバムに集中する方が適切だ。次のアルバムでは,もっと多くの曲を届けるよ。
それが本当なら,私たちの満足度は更に高くなりますね。“Return in Bloodred”の収録曲で,音楽面から人々に大きな衝撃を与えたものはありますか?
マシュー:“We Came to Take Your Souls”が特別な曲だと思う。この曲は「やあ,俺たちはPowerwolf,魂を頂きに来たぜ」っていう自己紹介みたいなものなんだ。みんなこの曲が好きだし,ライブでも映える曲だと思う。加えて,俺は“Black Mass Hysteria”が気に入ってる。上手く説明できないんだけどリフがいいし,何より本当に演奏するのが好きなんだ(笑)
作曲時は,最終的にライブでどのようになるのかを考えていますか?
マシュー:その通り!俺たちはリハーサルをしている時も,曲を書いている時も,いつどこで何をしていてもステージのことを考えている。実際の演奏を見据えるのはとても大切なことなんだ。君たち記者がアルバムについての記事を書く時は,この点を見落としがちになる。特に俺たちは今,インターネットとMP3が巣食う時代に生きているから。それと,バンドがステージ上でうまく演奏できることも重要だ。俺たちはそうありたい。ただ“Son of the Morning Star”のようにオーケストラとかを使っている曲は例外になるけどね。
もう2名のメンバー,オルガンのファルク・マリア・シュレーゲルと,ドラムのシュテファン・フネーブルについて教えてください。一緒にアーティスト写真を撮影するまでの経緯は?
マシュー:二人とも正式なバンドメンバーだよ。一緒に活動して数年になるから,二人がいつバンドに入ったのか思い出せないな。出会いのきっかけは昔ながらの方法で,俺とチャールズが新聞にメンバーの求人告知を載せて,そこにやってきたのが彼らだったのさ。シュテファンは本当にヘヴィー・メタルに入れ込んでて,俺たちはその姿勢に感銘を受けたのを覚えているよ。他のドラマーとリハーサルで使っていた古いドラムセットが別室にあったんだけど,そのショボいドラムを初めて叩いてもらったとき,俺たちは地球が上下反転したのかと思ったくらい驚いた。あいつが鳴らした音は今まで一緒に演奏してきたドラマーたちの10倍はデカかったんだ。ファルクは・・・ファルクも多分そこに一緒にいたんじゃないかな(笑)詳しくは覚えていないけど。
彼らについて,特にファルクについてお聞きします。Powerwolfのサウンドにおいては,オルガンがかなり重要な役目を果たしているように思うのですが。
マシュー:そう,俺たちはハモンドオルガンを使うのが好きなんだ。元々の予定には無かったんだけど,俺は最近のへヴィー・メタルバンドが使っている安っぽいキーボードの音が嫌いでね。チャーチオルガンやハモンドオルガンを用いることで,キーボードの面でも特徴を生み出すことができた時は本当に嬉しかった。俺はジョン・ロードとディープ・パープルを崇拝しているから,音楽には少しばかり70年代くささが漂っているかも。ハモンドオルガンによって,70年代風のクラシカルな雰囲気に加えて,俺たちが作りたかった不気味さも醸し出すことができていると思う。
バンドがこれからリリースしていく作品は,同じような性格の音楽であると期待してもよいでしょうか?今のところはどう考えていますか?
マシュー:そうなると思う。俺たちは“Return in Bloodred”を本当に気に入っているから,新しい曲作りにはまだ着手していないんだ。デビューアルバムに関する全ての果たすべきことが終わった頃には始まるんじゃないかな。曲作りを机に向かったまま進めるのは性に合わない,って話をさっきしたけど,俺たちの曲作りは自然と始まるんだ。その時がきたら,俺たちは顔を突き合わせてアイディアをまとめていくよ。何が起こるかはその時に分かるってわけだ。メンバー全員が“Return in Bloodred”に惚れ込んでる。だからバンドに大きな変動を予想する必要はないよ。
今までのインタビューを除いて,このアルバムを布教していくために準備していることはありますか?ミュージックビデオを作る予定とか。
マシュー:いいや,アッティラが映像を作りたがらないんだ。Powerwolfの映像が,みんなが思い浮かべるようなヴァンパイア映画みたいになるのを恐れてね(笑)アッティラは違うと言っても,やっぱり彼はかなりの変わり者だから。君は何時間だってアッティラと話ができる。けれど,もしもアッティラが望まないのなら,彼はそれに応じないよ。ドイツ以外では,ヘヴィー・メタルの映像をテレビで流すなんてことはまず出来ない。だから,俺はミュージック・ビデオとかを作るのに少しの意味も見出せないんだ。
あなたと全く同じ考えを主張するバンドがいくつかありますよ。
マシュー:つまるところ,ツアーやグッズにお金をかけたいんだよね。夜中の3時に2,3回再生されるだけの映像作品に莫大な費用をかけるよりも,本当に音楽に関連したものに。本物のへヴィーメタルファンは,実際に手にとることでアルバムを知ってくれる。彼らにとって,映像という媒体は重要ではないんだ。
今作をデジパック版でもリリースするという資料を読みました。そちらを購入したファンには特典がありますか?近年の,メタル・ブレイドのデジパック版には,DVDが付属されたりしていますけれど。
マシュー:いいや,CD自体に特典は無いんだ。けれど,ブックレットが少し違うかな。バンドのストーリーがルーマニア風に,いわば中世風に描かれているんだ。大多数のメタルCDで目にするような,お決まりのストーリとは違ったものがね。聴く人々を音楽の雰囲気に取り込んで,バンドの結成を決意した時に俺たち5人が共有した感覚を目にしてもらうのが目的さ。
ここイングランドであなたに会える日が早く来ることを願わなきゃ。
マシュー:きっとすぐにその日が来るから,祈っていてくれ。今言える確かなことは,PowerwolfはドイツのSummer Breeze festivalに出演するってこと。それからまた,いくつかのフェスティバルにもね。
わかりました。私たちはPowerwolfから目も耳も離せませんね!演奏を聴ける日が来ることを祈ります。インタビューに応じてくれてありがとう。最後に一言どうぞ。
マシュー:考えさせてくれ,何を言ったらいいかな(笑)絶対に“Return in Bloodred”を聴いてくれ!このウェブサイトは「Get Ready to Rock」だよな。俺からは「Get Ready to fucking Heavy Metal」(真のヘヴィーメタルに備えろ)って言葉を贈るよ!
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